プロダクト
PowerCOOL 事例
ケーススタディー: ランドローバーLR3
冷却気流の測定や解析は非常に難しく、特に走行条件やアンダーフード形状を変更した場合には多くの時間を要します。ここでは、PowerFLOW®とPowerCOOLを用いて計算された、ランドローバーLR3のアンダーフード内の流れをアイドル時、低速、および最大速度の3種類の走行条件における冷却性能に関する結果を示します。
形状の詳細を以下に示します。元のCADデータは簡略化されておらず、細部に至るまですべての形状が考慮されています。これは、現実の世界の冷却気流を正確に再現する上で不可欠です。また、簡略化していないCADデータを使用することで、データ準備の多くの割合を占めていた修正作業がなくなり、ケース準備にかかる時間を大幅に短縮することができます。



外部ボディー、アンダーフード、およびアンダーボディの詳細を完全に実現したランドローバーLR3のシミュレーション用形状。
冷却気流シミュレーションに必要な重要なデータとして熱交換器の熱特性測定データがあります。ラジエーター、インタークーラーおよびコンデンサーのような熱交換器は、ポーラスメディアとしてモデル化されます。空気と熱交換器間の伝熱は、測定パラメータである伝熱係数によって決められ、伝熱係数は、空気とクーラントの質量流量の関数として測定されます。測定値は、伝熱係数と、クーラントおよび空気の質量流量の相関を導くサンドウィッチ公式によって補間できます。


ランドローバーLR3:異なるクーラント質量流量における伝熱係数: a)ラジエーター、b)インタークーラー(黒点はデータ、赤線は補間を示す)。
ランドローバーLR3の冷却パッケージの詳細を以下に示します。冷却器は、ラジエーターの前に配置されています。冷却器とラジエーターは、インタークーラーの上に配置されており、排気される高温な空気による影響をほとんど受けません。

ランドローバーLR3のアンダーフード形状構造。
3種類の走行条件による実験で測定されたラジエーターとインタークーラーの動作パラメータを以下の表に示します。このケースではラジエーター内部質量流量と排熱量は指定されており、PowerCOOLでは、排熱量ではなく、ラジエーターの内部クーラント温度を計算しています。
| 動作条件 | アイドルリング | 低速 | 最大速度 |
| 空気流速 | 0km/h | 95km/h | 179km/h |
| 周囲空気温度 | 46.8°C | 31.3°C | 42.0°C |
| 容量[MFe (V/S)] | 8.2/7.7 | 8.2/7/7 | 8.2/7/7 |
| インタークーラー | 0.015kg/s 100°C |
0.097kg/s 195°C |
0.138kg/s 200°C |
| ラジエーター | 0.44kg/s 11.6kW |
1.77kg/s 65.2kW |
2.44kg/s 83.8kW |
| コンデンサー | 8.0kW | 12.0kW | 12.0kW |
| ファン | 1003.5RPM | 2440RPM | 2143.5RPM |
ランドローバーLR3ケースパラメータ
ラジエーターのすぐ背面にある空気温度場の結果を以下に示します。1つ目の図は、アイドリング時の温度を示します。ラジエーター上部と角の周辺の高温領域は、流れの再循環現象によるものです。走行速度が速い場合には、次の図に示されるように、ラジエーターの右端から発達する高温領域が確認できます。これは、クーラントの流入箇所がラジエーターの右側にあるためです。また、アイドリング時よりも高温になっているのは、熱がアイドリング時より高いこともその理由です(前の表を参照)。
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a)アイドリング、b)低速、c)最大速度の各ランドローバーLR3ケースにおけるラジエーター背面の空気温度分布
冷却気流で最も重要なことは、低速走行時およびアイドリング時の再循環現象です。LR3のアイドリング時における温度場の時間上昇を以下の図に示します。空気の温度は、熱交換器のすぐ背面で上昇し始めます(0.09秒および0.15秒)。熱交換器から流出する空気の一部が上流方向へ戻り、それによって熱気がゆっくりと逆流します。その結果、熱気は、下流と上流の両方向に向かって移動します(0.30秒から1.05秒)。上流方向に向かって流れる熱気の一部は、熱交換器に再流入するため、熱交換器に流入出する熱気に複雑なフィードバックが発生します(1.34秒から1.47秒)。再循環する空気速度が遅いためこの全体のプロセスも遅くなります。ラジエーターの入口における空気温度は、冷却気流、熱交換器、および再循環する熱気による非常に複雑な相互作用の影響を受けます。このケースでは、シミュレーションが有効であることが確認されました。

アイドリング時における温度場の時間変化、循環現象の影響を大きく受けていることがわかる。
着目すべき主なパラメータは、ラジエーター入口のクーラント温度(トップタンク温度)です。測定値と予測値の差を以下の表に示します。
車両 |
ランドローバーLR3 |
||
ケース |
アイドリング |
低速 |
最大速度 |
温度差 |
2.1°C |
1.0°C |
4.3°C |
トップタンク温度の測定値と予測値の温度差。
参考資料:
1.A. Alajbegovic、R. Sengupta、W. Jensen、『Cooling Airflow Simulations for Passenger Cars Using Detailed Underhood Geometry,』SAE 2006-01-3478。
2. J. Amodeo、A. Alajbegovic、W. Jansen、『Thermal Management Simulation for Passenger Cars – Towards Total Vehicle Analysis ,』6th MIRA International Conference、2006。
3. A. Alajbegovic、B. Xu、 A. Konstantinov、J. Amodeo、W. Jansen、『Simulation of Cooling Airflow Under Different Driving Conditions,』SAE 2007-01-0766
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